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話がそれてしまった。
「で、その同級生がどうしたの?」
「彼氏ができて、半年くらいで同棲しようってなって」
「うん」
「したのはいいんだけど、三か月くらいで彼氏実家に帰っちゃって」
「なんで」
「それもいまいちはっきりしなくて。たぶん彼女が入院病棟のナースだから、勤務時間が不定期だからとか、仕事の話がハードだとか」
「そんなのわかってて同棲したんじゃないのか」
「そうよねぇ」
「それで別れたの?」
「別れたんならよかったんだけどね」
「別れてないの?」
ややこしそうな話だと、悠人の顔に書いてある。
「その彼氏の母親が出てきて」
「えっ? 母親?」
「そう、母親。木更津の元ヤン」
「なにそれー!」
悠人は思わぬパワーワードにのけぞった。
「その木更津の元ヤンが、慰謝料払えといってきて」
「はあ? なぜ」
「なんか息子が精神的苦痛を味わったんだって」
「意味わかんない」
「でしょ? マンション借りるときのお金は彼女が出してるのよ」
「えー、折半じゃないの?」
「彼女のほうが稼いでるからって」
「うわー、情けないなぁ。あっ、もしかしてマザコン?」
「そうね。彼氏は連絡取れなくなって。元ヤンから一方的に電話くるだけで」
「やばー。どうしたの?」
「なんか、元ヤンて大声で威嚇すればいうこと聞くと思ってるみたいで」
「恫喝じゃん」
「そう、それで自分ではどうしようもなくなって。パラリーガルやってる同級生に相談して」
「人材豊富だな! 同級生!」
「彼女が彼氏とのやり取りを記録してたのと、元ヤンの電話を録音してたから、被害者はこっちだっていってもらって」
「ああ、してたんだ。予感があったんだな」
「弁護士事務所が出てきたら、むこうビビったみたい。勝手に弁護士だと思いこんで」
「なんか離婚みたいだな」
「そうよね。でもうまくいいくるめて、別れたの。もう連絡しないって誓約付きで」
「……よかったね」
「うん」
「なんの話だっけ」
「直接会いたいって話」
「ああ、そうだ。で、なんで?」
「もしかしたら、そういうこともあるのかな、と思って」
「うちの親は元ヤンではないよ」
「知ってる。うちの親も元ヤンじゃないわよ。ただ、できれば会いたいなと思ったの」
「なるほど。まあ、来月になったら行けるだろうしね。それからにしよう」
「うん、ありがとう」
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