「花火と君と」

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「花火と君と」

 光り輝く色とりどりの火の粉が蒸し暑い夜空を照らした。  君と見ていた花火も、今見ている花火も、綺麗だった。純粋に綺麗だと思った。それ以上の言葉も、それ以外の言葉も出なかったし、いらなった。  隣に君がいてくれたら、もっと綺麗に見えたのだろう。何なら、光に照らされた、君の横顔が綺麗で、花火どころではなかったかもしれない。  火の光も、激しく鳴り響いていた音も、隣にいたはずの君も消え、暗闇に包まれた。  生ぬるい夏の風が吹き抜ける。  これが、僕が最期に見た夏の夜空だった。
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