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一人で生きるということ
私の名前は川崎舞。
ちょっと、世間一般とは違う育ち方をしたけれど、中身はいたって普通の凡人だと思ってる。
高校までは結構太り気味で、お化粧にもお洒落にも興味がなかったし、陰で「地味な日本人形」とか言われてたのも実は知っている。
でも別に気にしてなかった。
私は、自分がどうやって生きていくかを考えることが最優先だったから。
物心がついたときには、両親と三人で平均よりも多少裕福な暮らしをさせてもらっていたと思う。私は一人っ子で、あまり記憶にはないけれど父は大手企業のサラリーマン、母は保育士をやっていたと聞いている。
いろいろあって、小学三年生から私は養護施設で生活してきた。
ものすごく勉強ができるわけでもなかったし、運動も人並み。
だったら、手に職をつけて一生働いていけるようにしないとって考えた。
周囲の大人や学校の先生ともたくさん相談して、都内の、理学療法士や作業療法士を育成する専門学校に無事進学。そこからは施設を出て、一人暮らしをしながらなんとか頑張って…丸二年がたったところ。
「川崎さん」
今日の講義を終えて図書館に戻ろうとしていたら、担当のおじちゃん教授・月島先生から呼び止められた。
この人は、私を含めて20人くらいを入学時からずっと担当してくれていた。
何もわからない高校生が新しい環境できょろきょろしてる状態から、たったの二年で、一応世の中に出られるところまでもう一歩のところまで育て上げるのは、簡単なことじゃないと思う。
特段厳しいわけではないのに、なぜかすべての課題を学生にきちんと仕上げさせてしまう、不思議な先生だ。
専門学校に進学するというと、「勉強が嫌いなの?」みたいな顔をされたり、直接言われたりすることもあった。でも、全然違う。
もちろん大学にだって短大にだって、勉強が好きじゃない人は一定数いると思うし、そういう意味では専門学校にもいるんだろうけど。
専門学校が大学と大きく違うところは、社会に出て即戦力となる資格や技術を身に付けるというところ。そのために必要な勉強はもちろんしなきゃいけない。
私たちが目指す理学療法士や作業療法士は、医療従事者に区分されるから、勉強しなきゃいけないことはたくさんあるし、最終的には国家試験を取得する必要があるので、勉強が全然できないとか大嫌いという人はあまり多くないように感じる。
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