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「本当に山女なのかっ? お前っ、どうしてまだ生きておる⁉︎」
まるで死ぬ事が前提だったみたいな里長の口振りに、山女は息を呑んだ。
「これまで贄になって戻ってきた娘がおらん事はお前も知っておろう? あれは皆、龍神様に喰われたからだ。なのにお前――。まさかあの日、務めを果たさず主様から逃げたのか?」
六年半前、自分たちが縄でぐるぐる巻きにして、内側からは決して出られない駕籠の中へ閉じ込めておきながら、何故そんな風に思えるのだろう?
久々の再会を露ほども喜ばれもせず、そればかりかそんな風に疑われてしまって、山女は心底悲しくなった。
「私、」
――お役目を放棄などしておりません!
そう訴えようとして、辰に抱いて貰えなかったばかりか、食してすら貰えなかった事を思い出した山女は、グッと下唇を噛んで黙り込んだ。
辰から与えられるばかりで何も返せなかった自分は、お役目を放棄したのと何ら変わりないのではないかと思って。
そんな山女の沈黙を、里の者達は先の里長の問いへの肯定と受け止めた。
「何て事だ」
にわかに里全体が騒がしくなって、半ば恐慌状態。
ややして、「今からでも遅くないのではないか? やり直そう」と言う声がどこからともなく聞こえてきた。
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