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きっと自分が入った後、縄でぐるぐる巻きにしたこの小さな箱に、数名の男衆が肩にかつげるよう、太く長い棒が一本差し渡されたんだろう。
まるで紐の先でゆらゆらと頼りなく揺れる祭り提灯のように、幾重にもかけられた縄で棒にぶら下げられているに過ぎないから、運ばれている間中かなり揺れた。
そのせいで、地べたに降ろされても尚、身体がふわふわと揺れている心地がして気分もすこぶる悪い。
「じゃあな、山女。しっかり勤めを果たすんだぞ?」
そのうえ時節は火の気のない所にいると手足がかじかんで痛みさえ覚える十一月の終わり。
普通の駕籠と違って、蔦葛と竹で編まれた小さなつづらに、棒が渡されただけの簡易的な輿だ。
水辺の祠そばに置かれた駕籠の中には、川面を撫でて流れてくる冷たい川風がびょうびょうと吹き込んできた。
「寒い……」
下腹部の鈍痛が寒さでいや増す気がして、山女はつづらの中でギュッと身体を抱きしめて丸まった。
途端、とろりと股の間を経血が流れ出る気配がして、キュッと唇を噛みしめてその不快感に耐える。
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