7人が本棚に入れています
本棚に追加
「…美咲?」
隼人の小さな声が黒い塊と夢香に届いた。
「美咲?」
夢香の問いかけに
「前の彼女」
と隼人が答えた。
それを聞いて黒い塊のようだった美咲がなんやらわけのわからない声を発する。そのまま二人に向かって走り出した。
黒い塊だと思っていた美咲、腹の真ん中あたりに何かキラっとひかるものが見える。
あぶない
そう思った瞬間、隼人は夢香をかばうように彼女に覆いかぶさった。
同時に脇腹に今まで感じたことのないような痛みが走る。
それが何度も何度も。
なんだろう、雨が降ってないはずなのに手が、足が濡れている。
脇腹や背中が痛い。
なんだろう。
おなかの下の夢香が震えている。
夢香を守った。約束を守った。
最初のコメントを投稿しよう!