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1日
翌日、電話をして、診察時間を少しずらした指定の時間に近所の内科医院に行った。簡易検査の結果は陽性。37.5℃以上の時に服用するよう解熱剤が処方された。
「あとね、けっこう喉が痛くなって食べたり、飲んだりが大変になるみたいだけど、暑いから水分は取ってね。薬局にお薬と一緒にゼリー飲料を届けてもらうこともできるけれどどうする?」
確かに喉が痛くなって、ご飯は食べづらくなっていた。ゼリー飲料も一緒にお願いした。
学生寮に戻り、管理人さんに風邪だったことを話すと食事は部屋まで運んでもらえることになった。
「悪いけれど、部屋からは出ないでね。あと、内線で1日1回、お熱の様子を教えてくれる? 去年、肺炎になってしまって、だいぶ悪くなっちゃった子がいてね。だから安否確認はすることにしているのよ」
「わかりました」
「エアコンは1日入れっぱなしにしてね。換気もちゃんとして、エアコンは切らなくていいから。困ったことがあったら内線してね」
「はい」
部屋に入って体温を測ると38.5℃だった。薬局の人がお薬を届けてくれたらすぐに飲もう。早く治さなくちゃ。
頭痛いし、体もだるい。それでも頑張って電話する。留守番電話になっていた。
「翔馬くん、風邪ひいちゃった。検査で陽性になっちゃったからしばらく外に出られない。ごめんね、夏生くんのお祝いができなくなっちゃった」
思いのほか小さくて元気のない声だったけれど、仕方がない。電話を切って、少し横になった。
目覚めると外は暗くなっていた。携帯に着信がある。管理人さんからで、お薬が来たと伝言されていた。慌てて電話するとお粥と一緒に薬一式を届けてくれるという。
ノックがして、少ししてからドアを開けると外にボックスが置かれていた。
ずるずると室内に引きずり込んで中身を見ると、お粥とグレープフルーツ、お薬とゼリー飲料、寮の先輩からの差し入れのプリンとバニラのアイスが入っていた。
おじやを食べる前に熱を測ると39℃あった。管理人さんに感謝のメッセージを入れて、お粥を食べる。けれど、喉が痛くてとても食べられない。
先輩のプリンは冷たくて口の中では美味しかったけれど、飲み込むのはやっぱり大変だった。それでもなんとかプリンを食べて、薬を飲んだ。
翔馬くんからの連絡は入っていなかった。
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