わたがし

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子供の頃、夏祭りにあこがれて居た。 なぜなら、実家は夜、商売をしている為、連れて行ってもらえないからだ。 ある時、親戚の家の家族が来て、私を連れて行ってくれた。 夢のように嬉しかった。輪投げ、金魚すくい、スマートボール。 そして、綿菓子を買ってもらった。 嬉しくて、大事に大事に食べようと思った。 輪投げのところで並び、順番が来るのを待ちながら、よその子がしているのを見ていた。そして、ふと持っている綿菓子を見ると、ほとんど棒だけになっていた。何が起きたのか解らず泣き出し、あまりの悲しさに泣き止む事が出来ずそのまま家に帰って行った。 それ以来、綿菓子を買ってもらう事もなく、夏祭りに連れて行ってもらう事もなく、子供の時期は過ぎた。 娘になって、友達と行った夏祭り、綿菓子を買う事はなかった。
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