キミと見あげる夜空には

23/24
161人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
 「分かった。  それなら、さっそく、明日でも息子に会ってくれるか。  俺の特別な友達って紹介するから」  「そう言ったの私だからね。  ……嫌われないといいんだけど」  子供と相性が悪かったら、結婚はなくなって幼馴染のままだ。どうなるかは、その子次第だ。  「理香なら大丈夫」  謎の自信に苦笑していると、身体に低い音が響いた。  思わず空を見あげると、大輪の花が咲いていた。  二人で並んで見ていると、哲夫が静かに話しかけてきた。  「パッと空で開いて、そのまま消えるよな。  何も残さないと無駄だって思うか?」  哲夫の言いたいことは分かるから、私は何も返せなかった。  「理香がいてくれるだけで、家族は幸せだと思うな。俺も同じだよ。  花火も、綺麗だったって記憶が残るだろ。何もないなんてことないよ」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!