162人が本棚に入れています
本棚に追加
「見てるだけで涼しくなりますしね」
大規模な花火大会では、身体に響く音の後、大輪の花が夜空に輝く。見事で夢中になるけど、家族で賑やかに楽しむ花火もいい。
「明日の花火は見に行くの?」
「混みますから、この子を連れていくのは……ここからも見えますから、留守番しようかなと」
かなり小さいけど、実家から花火を見ることは可能だ。
「そっか。もう少し大きくなってからだね。私はのんびり一人で行くつもり」
集団の中の孤独は悪くない。
「倫生さんと上の子たちは行きますから、一緒に行けばいいですよ」
気持ちはありがたいけど、花火を弟たちと見るのは辛い。
「……気が向いたらね。人と会うかもしれないんだ。だから」
そのつもりはないのに、哲夫を理由に逃げる。
まだ一年経っていない。一人になりたい時が多い。
最初のコメントを投稿しよう!