キミと見あげる夜空には

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 「見てるだけで涼しくなりますしね」  大規模な花火大会では、身体に響く音の後、大輪の花が夜空に輝く。見事で夢中になるけど、家族で(にぎ)やかに楽しむ花火もいい。  「明日の花火は見に行くの?」  「混みますから、この子を連れていくのは……ここからも見えますから、留守番しようかなと」  かなり小さいけど、実家から花火を見ることは可能だ。  「そっか。もう少し大きくなってからだね。私はのんびり一人で行くつもり」  集団の中の孤独は悪くない。  「倫生(みちお)さんと上の子たちは行きますから、一緒に行けばいいですよ」  気持ちはありがたいけど、花火を弟たちと見るのは(つら)い。  「……気が向いたらね。人と会うかもしれないんだ。だから」  そのつもりはないのに、哲夫を理由に逃げる。  まだ一年()っていない。一人になりたい時が多い。
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