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親は単純に考えてくれる。
独り身になった幼馴染同士が再婚すれば、みんな丸く収まると……多分、哲夫の親は、私の事情を知っても問題ないと思ったはず。
「でも、哲夫は、私と全然違うでしょ。
相手に減額頼まれても拒否する嫌な女なんだよ」
自虐的に言うと、哲夫は困ったように返してきた。
「当然だろ。そんなこと言う奴がずうずうしい。
慰謝料は値引きするようなものじゃないだろ。金に困っても自業自得なんだから、払うのは当たり前。
飛ばされたのだって、後輩食うような奴が悪いじゃないか。
それに、一番最初にしないとならなかったのは、ごめん、欲しいんだって言うところからだろ。
理香なら、それ言われたら素直に認めたんじゃないか?」
唇が震えた。
結婚して五年経っても妊娠しない。
不安になって病院に行って……元夫だけが執着した。
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