キミと見あげる夜空には

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 ***  「実は、俺、ずっと理香のこと好きだったんだ」  「は?  全然そんなそぶりなかったけど」  幼稚園から高校まで一緒だった幼馴染。それ以上の感情はなかった。  「照れくさくてさ。  ずっと一緒だったから、どうやって告白すればいいか分からなかったし。  東京行った後、会うこともなくなっていったから、縁がないんだなって。それで、働いてから付き合うようになった相手と結婚したんだ。  失敗に気づいたのは、こっちに帰ってくるって決めた時。  無理だって思ったのは向こうだけじゃなくて、俺もなんだ」  「どうして?  奥さんが無理なのは分かるけど、哲夫はどうして?」  私の問いに、哲夫は、ほんの少し(にが)さの混じった笑みを浮かべた。分かりやすい表情をするタイプだから、珍しい。  「こっちに帰ってきたら、理香のこと、しょっちゅう聞くことになるんだぞ。  帰省の時、会わないようにやり過ごすってのはもうできない。ずっと理香のこと気にするだろうな。  結婚してるのに、他の女が気になる男とは一緒にいられないだろ?」
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