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答えられない。
確かに地元を離れてから、ほとんど会っていない。哲夫のことを友達以上に考えたことはないから、気にならなかった。
「理香が離婚したって聞いて、ずっと思ってた。俺なら、理香と二人でずっと仲良く暮らすのにって。
でも、結婚してたから、その気持ちは一生隠すつもりだったんだけど……」
家業を継ぐと決めたから、夫婦に亀裂が入った。奥さんだけでなく哲夫も無理と考えたとしたら、修復は不可能だ。
「だから、おばさんに、理香が帰省するって聞いたから会いたいって頼んだんだ。
久しぶりに会いたいからって言ったけど、すぐに気づかれたよ。
頑張るのよ!って檄飛ばされた」
困った息をついた。母なら言いそうだ。
でも、友達としてしか見たことのない相手を、急に異性として意識してほしいと言われても厳しい。
「私、哲夫のこと、幼馴染の友達以上に思ったことない」
予想どおりだったらしく、哲夫に落胆の雰囲気はない。
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