キミと見あげる夜空には

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 「あと一年くらいは東京かな。  ()めたら雇ってくれる?」  建設業の事務はまったく知らないけど、一年あれば、ある程度のことは(おぼ)えるはず。  「いいのか?  うちで働くってことは、戻るってことか?」  「うん。  母さんをいつまでも一人にできないからね。倫生(みちお)は向こうで家庭作ったから、身軽な私が戻るのが一番。  ……近所の人に噂されるのが嫌だったから、なかなか決心つかなかったんだ」  バツイチの娘が実家に戻ったら、噂のいいネタだ。  「噂なんて放っておけばいい。そのうち()きて違う話題に飛びつくさ。  本当に戻ってくるんだな」  頷いた。  「哲夫とどうなっても、こっちに帰ってくる。  いつって決めてなかったから、まだ母さんに言ってないけどね」  母なら、自分のことは気にしないで、と言いそうだから。
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