162人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「あと一年くらいは東京かな。
辞めたら雇ってくれる?」
建設業の事務はまったく知らないけど、一年あれば、ある程度のことは覚えるはず。
「いいのか?
うちで働くってことは、戻るってことか?」
「うん。
母さんをいつまでも一人にできないからね。倫生は向こうで家庭作ったから、身軽な私が戻るのが一番。
……近所の人に噂されるのが嫌だったから、なかなか決心つかなかったんだ」
バツイチの娘が実家に戻ったら、噂のいいネタだ。
「噂なんて放っておけばいい。そのうち飽きて違う話題に飛びつくさ。
本当に戻ってくるんだな」
頷いた。
「哲夫とどうなっても、こっちに帰ってくる。
いつって決めてなかったから、まだ母さんに言ってないけどね」
母なら、自分のことは気にしないで、と言いそうだから。
最初のコメントを投稿しよう!