星空散歩

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星空散歩

「お疲れ様でした!」 夜10時15分 挨拶を済ませドアを開けると夜の風が心地よく頬をなぞる バイトが終わってドアを開けるこの瞬間が好き 夜風が好き 夏の匂いが好き 日中は暑い日差しとムワッとした空気に気分が落ちるけど、初夏の夜は空気が澄んで少し爽やかな風に変わる 何故か胸がきゅっとなる瞬間 一歩外に足を踏み出して大きく息を吸い込むと新鮮な空気に疲れた体が少し癒される 「お疲れ様でした!お先に失礼しまーす!」 息を吐いて歩き出そうとした瞬間 後ろからの元気な声に思わず振り向いた 「あ!よかった!ミーさん一緒に帰りましょうよ!」 静かな外の世界に元気のいい声と夜でもわかるくらいの眩しい笑顔 「ちょっ、しー!少し声大きいよ!」 お店の中は賑やかだけど、一歩外に出ればそこはまた別の世界 私は少し焦って人差し指を口に当て小声で注意した 「はーい!すみません!」 私の真似をするように人差し指を当てて小声で話すその姿が可愛くて顔が緩むのをとめられない なんなのこの可愛い生き物は
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