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私は中学をドロップアウトしてからずっと仕事漬けの人間であった。人にはそれぞれの限界があるようで、その頃の私には労働意欲が空っぽになってしまっていた。それでも生活は続くから、食費光熱費通信費住宅ローンとあらゆるものによって搾取されるので働かないといけない。もう無い知恵と過去の遺産にすがって空のはずの容器を搾り取る様な日々だ。八月三十一日の私は、その生活に嫌気が指して、缶ビールを片手に街を散歩することにした。
それなりに長く暮らしている街だが、代わり映えもしないし、ごみ溜のような吐き気もしないし、かといって手つかずの自然が残されているわけでもない。丁度よい安易な街だ。住んでいる人をみんなまとめてどこかの地方都市に移動させても、全員で同じ生活が出来るだろう。おそらくこんな街が日本中に点々と存在している。そういう紋切り型の娑婆臭い街だ。大体地方都市ってのはどれも同じ作りをしているものだし、地域性なんて幻だ。
待てど暮らせど、俺たちを変えてくれる「何か」はやって来ない。
その途方もない徒労感に思わず、クシャミをした。
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