お父さんは雀士

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◎お父さんは雀士 1話  私、美織。みんなにはミイって呼ばれてる。身長が122センチしかないのがちょっとだけコンプレックスな普通の小学五年生。小さくってもお父さんお母さんがいつだってミイかわいいミイ美人って言ってくれるから全然平気。  私自身は普通なんだけど、お父さんがちょっと変わった仕事をしているの。  お父さんは見た目だけ見たらまだ学生みたいなんだけど、もう今年で40歳になるんだって。とてもそうは見えないしウチはお母さんもすごく可愛いんだ。  5才離れた妹もいてこの子は私にそっくり。背が低い所まで似なくてもいいのに。まあ、お母さんも小さいから仕方ないか。  それでね、お父さんのお仕事は麻雀打ちっていう仕事なんだ。  麻雀屋さんの店員さん。昔はプロ選手だった時期もあってすごく強いの。どのくらい強いかと言うと、本人は『史上最強』って言ってる。それってつまりさ、全ての時代の人ひっくるめても世界一ってことでしょ。それは1人しかなれないじゃん当たり前だけど。そう言ったら 逆に必ず1人居るんだ。それがオレじゃないはずがない。異論があるやつは挑んで来ればいい。  ってさ。すごいよね。それが真実かは置いといてそこまで自信満々に宣言出来る人はさすがにお父さんだけじゃないかなと思った。  私の趣味はスーパーマリオメイカア2でステージを作って投稿すること。  お父さんはゲームが得意で何をやらせても強い。スーパーマリオだって私より上手いの。大人なのになんで!って言ったら、お父さんは仕事もゲームだからプロゲーマーと同じ。頭しか使わないで稼いでるんだよ。って言うの。本当かな?  実際にはお茶汲みしたり片付けしたり掃除したりもしてるみたいだけど、そんなのはついでで、お父さんの仕事の本当の姿はやっぱり麻雀。お父さんは雀士なんだ。  麻雀って言うゲームはパズルゲームみたい。お父さんはパズルゲームの天才ってことなのかな。  お父さんのゲームを知りたいから私も麻雀を勉強してみることにした。
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