死の予言

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 あの後マキはトイレから帰ってこなかった。まさかトイレの中で息絶えたのではないかと心配した俺は店の人にトイレの中を調べてもらったが、彼女の痕跡はどこにもなかったらしい。その後彼女のスマホに連絡をするが彼女からの返信はなく俺は眠れぬ夜を過ごした。そして今日マキは学校も休んだ。これは異常だ。何か胸騒ぎがする。何かよくないことが俺の周りで起こっているような気がする。 「お前の彼女今日学校休んだよな。変なやつだから、拾い食いでもしたのかな」 「お前、それが友人の彼女に対して言うことか」  まったくコイツは人の彼女に向かって暴言を吐く。アイドルにはペコペコ敬語で接するくせにその他の女子を見下したような発言をするこいつはいつか報いを受ける日がくるだろう。その時俺のスマホの着信音が鳴る。その画面を見た俺の表情が凍りつく。そして俺が急いで自転車乗り場に向かう。 「おいっ、急にどうしたんだよ」 「……」 「おい、そんなに急いでどこ行くんだよ」 「お前には関係ないだろ」  マサルが俺の肩を乱暴に掴む。 「何で俺のことを無視するんだよ」 「別に無視なんかしてないだろ。こうやって話しているんだから。それよりも俺は急いでいかなくちゃいけない所があるんだ」  マサルを無視して俺が自転車にまたがり漕ぎ出そうとした――その瞬間に尻に激痛が走りそのまま俺が横に倒れる。 「痛ってっ」 「おい大丈夫かよ」  俺が尻を触ると血が出ている。切れ痔? いやそんなはずは――俺が自転車のサドルを見るとその上にはそびえ立つ釘が見えた。何だこれは? 誰の仕業だ? 近所の子供のいたずら? この辺りはそんなに治安が悪かったのか? そんなわけがあるのか――いやないだろう。だとしたら一体? もし俺の体重が100kgを超えていてサドルに全体重をかけて座り込んでいたとしたら釘は俺の体を完全に貫通していただろうが、俺はトライアスロン選手のように腰を浮かせて自転車を漕ぐタイプだったのでかすり傷ですんだようだ。 「おい、大丈夫かよ」  マサルが俺の手を引っ張り助け起こす。感謝の言葉をマサルに言おうとしたが俺は反射的にマサルの手を振りほどく。そしてサドルの上に固定してあった5寸釘を抜き取り自転車に乗り慌てて漕ぎ出す。 「何で俺を無視するんだよ」    
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