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33. 続き ☆
ベッドの上で見つめ合えば、もう一度ゆっくりと唇が重なった。
互いの温度を分け合いながら、次第に深いものへと変わってゆく。
「……ふ、ぁ……んっ」
温かい手が、そっと頬に触れた。
暗闇の中で、その手は頬から首筋へとゆるやかに撫でてゆく。
晒された肌は冷えていた筈なのに、触れる温もりに簡単に溶かされてしまう。
その手が、その唇が、体の奥に疼くような熱を灯す。
溺れるような口付けに夢中で応えているうちに、気づけば肌をなぞる指は、胸の突起を触れ始めていた。
「んっ!は、ぁ……っ」
痺れるような快楽が走り、体の奥で疼く熱が暴れ出す。
襲いかかる熱を逃がそうと唇を噛み締めたいのに、それを早川は許さなかった。
「声が聞きたいな……」
ちゅっ……と、柔らかな舌に容易くこじ開けられた隙間から、熱い吐息と共に抑えきれない声が溢れ出す。
突起への刺激に耐えている隙に、ついにもう一方の手は下へと伸ばされた。
「や!ぁっ、ぁああ……っ!!」
突然握り込まれた先端を指の腹で嬲られれば、目の前に火花が散った。
与えられる快楽にすっかり溺れきった自身は、嬉しそうに涎を垂らしていた。
その雫をたっぷりと絡めながら扱かれてしまえば、もう何も考えられない。
「可愛いね、腰が動いてるよ」
大きな手に包まれた自身は、貪欲にもっともっとと刺激を求めてしまう。
それに応えるかように、早川の手も動きを加速させた。
でもー……、弾ける寸前で歯止めをかけたのは、俺の心だった。
「ゃっ!ま、まって!やだっ!!」
突然の静止に、早川は手を止めた。
「どうしたの?気持ち良くなかった?」
首を傾げながら此方を見下ろす瞳は、どこか不安そうに揺らぐ。
「ちが……っ」
「じゃあ、なぁに?」
伸ばされた指先は、汗で額に張り付いた俺の髪を掬う。俺は呼吸を整えながら、必死に言葉を選んだ。
「……俺ばっかりじゃ、やなんだよ。この前の続き、とかさ。……しないの?」
緊張のあまり、彼のシャツに縋りながら問いかける。赤くなる頬を見られたくなくて、顔を逸らして俯いた。
寝室は、沈黙に包まれた。
何か言って欲しくて、こっそりと視線だけ彼に向ける。すると、突然足首を掴まれ持ち上げられた。
「わっ……!」
自分の膝が、胸に着きそうになる。
急に変えられた体勢に驚きの声を出せば、早川が言った。
「続きって……、ここ?」
その指先が、蕾を掠める。
羞恥心に余計に体を火照らせながら頷けば、早川はゆっくりと指先を動かし始めた。
「挿れたいけどね……。男の子は準備が必要なんだよ」
指の腹が、蕾の周りの皺を伸ばすように撫で上げる。
「中を綺麗に洗浄して……」
蕾から離れた指先は、今度は臍の下を上へと縦になぞってゆく。
「僕のが、ここまで入るように解さないと」
トン……、と下腹部の一点を指先で突かれれば、そこにじわりと熱が溜まった。
遅れて意味を理解した頭が茹で上がる。
「だから今日はー……」
「あのさ?」
しかし、俺はその声を遮った。
シャツへと縋る指先に、ありったけの力を込める。
「準備しといたって言ったらどうする?」
息を呑む音がした。
「え……?」
早川は、暗闇でも分かる程驚いている。
俺は、羞恥心で爆死寸前の心を、叩いて叩いて声を振り絞った。
「だっ、だから。もう綺麗だから!」
「……いつしたの?」
「さっき、風呂で」
「なんで?」
「な、なんでってー…………」
もうヤケクソになって叫んだ。
「好きな人とエッチしたいって思うのは、男なら当然だろうがっ!!!」
だって、散々BL漫画を読み漁ったおかげで、知識だけはあったんだ。
(ひ、引かれた……!?)
早川は、何も言わない。
あまりの恥ずかしさに顔向けできなくて、両手で顔を隠した時だった。
手の甲に、キスが一つ落とされる。
恐る恐る指の隙間から覗けば、宝石のように輝く瞳と目が合った。
「い、嫌だった……?」
掠れる声で尋ねれば、早川は首を振る。
「全然」
そして、蕩けるような声で言った。
「してみようか……、最後まで」
返事は、熱い唇に呑まれて消えた。
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