冷たい瞳

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「んっ…、ぁ、やっ……!」 「ほら、暴れない。それに、こんなに感じているのに、嫌だなんてことないだろう?」 そう言って柊の後孔の中に入っている二本の指をバラバラに動かすと、柊は首を横に振って歯を食いしばった。 これ以上、自分のはしたないくらいに甘い声を、時空にも自分にも聞かせたくなかった。 しかし、そんな柊の様子を見た時空はスッと笑みを消した。 その表情を間近で目撃してしまった柊はびくりと体を強張らせる。 「君が声を抑えられなくなるほど気持ちいいところを……、私が知らないとでも?」 「あ、主…!」 ズプッと時空の指が抜かれ、ホッと息を吐いたその瞬間。 何の前触れもなく、は柊の後ろを貫いた。 「!??!!あ"ァッ…、い"ッ……くる、し、ぃ……。…んっ、ふぅっ………ぁ、あ、ア、ア、」 「いつまで私を怒らせるつもりだい? 私の名を、はっきりと呼びなさい。」 「ぅ″んっ……、それ、は、できなっ、…ンッぁああ、ンッ、ん、激し、ふっ……、言う、言うから、やめ…ッ!!!」 仰向けのまま後ろを暴かれ、快感から体を大きく仰け反らせた柊は、声を抑えることもやめてボロボロと涙を零しながら時空に許しを乞う。 その姿がどれほど煽情的(せんじょうてき)で、男を誘っているのか。 本人にまるで自覚がないというのが、時空の悩みの種であったりするのだが。 「ほら、………呼んで。」 「じく、う…ぁっ、じく、時空、時空……ッ!もう逆らったりしないから、だから、抜いて……、抜いてください……!!」 「抜くって、いったい何をだい?」 ズンッ、と奥を突いてから、時空は妖艶に微笑む。 対して柊は、喘ぎが止まらず、はっ、はっと浅い息を繰り返している。 「意地悪……しないでよ…、時空ぅ……」 「!……可愛い。」 まるで小さな頃に戻ったかのように、時空に甘え、涙を流す柊に、時空は喜ばずにはいられなかった。 その日、柊は時空の精力が尽きるまで、めちゃくちゃに抱き潰された。 それから、柊が時空のことを"主"と呼ぶことが多少減ったとか、あまり変わらなかっただとか。 そのことで毎日卑猥な仕置きを受けているだとか。 すべては、二人しか知り得ない。 その冷えた瞳に映るのは、情欲に溺れた己。 そして、その身朽ち果てる時まで、守り、支えると誓った、愛しき主人。 それだけである。
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