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ノンフィクションを書く3
おまえは、許されるべきではないよ、と思った。
いくら、たくさんの戦地で写真を撮影し、あんまりな光景や状況を伝え続けて来たとしても、沢山の自然破壊の問題に取り組んで来たとしても、様々な慈善活動に、必死で駆けずり回ってきた人物であろうとも、人間である限り失敗は何かしらおかすだろう。
それはいい、人間なのだから、やり直しのチャンスくらいは与えられるべきだ。
彼は、人の命を奪ったわけではない。
けれど、彼は、被害者と呼ばれる人々の為に尽力して来たと言われようとも、素晴らしい貢献をしてきた人物であろうとも、決して許されないことをした。
だって、死にたいと泣く私を笑ったでしょう?
「津波で亡くなった人たち、被災地に残って自死を選んだ人たちを想うと、私が死ぬべきだったと思う」
震える声でそう告げた私を、ほらまただ、こいつもだ、自分の思っていた通りの反応と心理だ、と、笑ったでしょう?
サイコヤロウめ。
私は、人間だ。
心がある。
彼は、許されるべきではない、と決めたのは私であって、裁判官や神ではない。
けれど、どうやら同じように、許さない、と思っていた人たちは沢山いたようだった。
そのような目に遭わされた人たちが、皆一斉に彼を責め立てはじめた。
、ま、潮時のタイミングだったのだから、彼は上手い事はめられてしまったわけだ。
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