SMクラブの裏方

1/1
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

SMクラブの裏方

 嬢として働くのは、無理だと思った。  耳年増でオタクでもあった私には、知識だけはいっぱいあった。  M嬢としての接客も、S嬢としての接客も、向いていないと理解出来ていた。  私に、その才能は欠片もないとわかっていた。  そのかわり、私は「ヘルプ」「裏方」の仕事が得意だった、それだけは自信があった。  そうして、そのSMクラブで働くことになった私の仕事と言えば、主に、嬢の方たちのプレイで使う道具の手入れや、それらを仕分けしてバックへ入れて準備をすることや、衣装の整理、ホームページを確認して予約の時間前にそれを嬢に伝えるなど。  さらには、シャワー室の掃除、時々はS嬢のお姉さんについて行って「撮影」を希望するお客さんの為にカメラを準備する、なんて言う裏方の仕事をしていた。 (予約が入ったらホテルで客と落ち合ってから金額を支払ってもらい、プレイと言う流れのデリヘルタイプの店だった)  それから、フェチクラブでもあったそのSMクラブでは所謂シモ関係のプレイもあった。  オイコラ普通に先に言えよ、と思った。  食べたり食べさせたり、飲んだり、飲ませたりと言うのがあったのだ。  それを主に担っていた嬢はこの店には一人しか在籍しておらず、人気があった。  ショーや、ビデオにも出演していると言っていた。  私は「嬢としては働かない」と言う条件でこのSMクラブに来て本当に良かったと心底思った。  だって普通に無理。無理なもんは無理だ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!