不可思議なキャストたち

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不可思議なキャストたち

 そう言えば、キャバクラでも風変りな子はいた。  お客さんと目を合わせることも出来ず、自分から口を開くことも出来ず、せっかくお客さんから何か話題をふってもらえても、その返事の言葉を選ぶ時に何かを頭でかけ違え、トンチンカンなことを言ってしまって、即チェンジされてしまうような子。  既にお客さんがお店に入っている時間帯なのに、部長に「今日の給料下さい、今彼氏がパチンコしてて持って来いって言うんです」とバカでかい声で交渉に行ってしまうような子。  みんな悪い子じゃなかったけれど、生きづらそうだなと思ったものだった。  こんなはちゃめちゃな私ですらそう思うのだから、とても苦労していたかもしれないし、もしかしたらただ私が色眼鏡で見ていただけで本当は楽しく生きていたのかもしれない。  キャバクラの仕事が純粋に合わなかったと言うだけの子だってもちろんいるだろう。  でも何かが、雰囲気が、もしかしたら?と思うような子には、たくさん出会ってきたような気がするのだ。
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