「生きられる場所」

「こうするしかない」

　このＳＭクラブではＳ嬢の子はそんな風な感じでもなかったが、Ｍ嬢をやっている子にはそういうものを良く感じた。
　Ｓ嬢は相当頭が良く、機転がきかないと出来ないお仕事だし、プライドを持って勤めている方が多かった。（３人しかいなかったが）
　それに引き換えＭ嬢の子は人数もそれなりに多く、搾取されることに慣れ切っているような、ちょっと疲弊感のある子が多かったような気がする。

　もし、発達障害や境界域知能だったりしたのであれば、今まで他の仕事をしても上手く行かなくて、こちら側にやって来たのかもしれない。
　もちろん決めつけることはできないし、そうじゃないかもしれない。
　私には調べることは出来ないし、この話は過去の話だ。

　けれど、ある程度我慢がきけば、生活して行く為のお金は稼ぐことができるこの場所にこの子たちは来た。
　もちろん親御さんたちとお家で暮らしているわけではないと言うことは、お家は出ているのであろう。

　何があったのか？何もなかったかもしれない。でも、私は勝手に想いを馳せた。

　「こうするしかない」と言う場合があったのだ。
　そういう人もいるのだ。
　こういう場が、そういう人達の受け皿だったりする場合もあるのだな、などと思った。