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褒めて欲しかった
そう言えば私ははじめてキャバクラで接客が給料になった時に「やったあ!!」と素直に思ったものだった。
なんだかとってもスッキリした気持ちがした。
上手く騙したり、嘘をたくさんついたし、欺いたのに、それがお金に変わった。
だから、男に復讐がしたかったのかもしれないと一瞬思った。
幼い頃には親戚のおじさんから性的な悪戯をされたし、父親からは暴力を振るわれることもあった、そういう風にして生きて来たからだ。
高校の体育教師にだって殴られ、手首の傷をうすら笑われバカにされたものだ。
でも、優しい男性もいたのだ。
それも覚えている。
だからきっと、私の動機は復讐ではなかった。
たったひとつ、これだけだった。
「褒めて欲しかった」。
それだけが、私が本当に心から欲しかったものだった。
生きたい心で一心不乱に、死にたい体をなんとか引きずりまわし這いずって。
剥き出しのままの神経を晒したままのような私は、なんとか生きてきた。
きっと生まれつき、そういう人間だった。
そういう風にして生きることしかわからなかった。
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