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そんな話を聞いていれば、せっかくの料理も味がしなくなる。 「なぁ、その話、誰から聞いた。」 「興信所に頼んで彼女の友達って線も辿って、あとは社員の何人かに聞いたわよ。だって親会社の社長の子どもで将来は会社を背負って立つんだから周りに置く人は、ちゃんと調べないとならないでしょ。 篤くん、まだ私のこと好きなんだよね。  ずっと待っていてくれたのに、再会する寸前に悪い女に引っかかったのは私にも責任があると思うから、ちゃんと別れられるように私も協力する…」 「いいかげんにしてくれ。」 篤は、思わず立ち上がっていた。 「梨香子の何を知ってる?あいつは優しいのに傷ついてばかりで…友達と彼氏には裏切られて、その彼氏とは去年の夏に別れてる。俺は全部知ってて、付き合ってんだよ。 何も知らない外野にごちゃごちゃ言われて、梨香子が傷つくのは、もうたくさんなんだ。 これ以上、梨香子を傷つけたりするなら音羽も優香ももう縁切る。」 「ちょ、ちょっと待ってよ。飯田くん。」 優香が篤を宥めようとするが、音羽は篤の怒ったところなど今まで見たことがなかったせいか動揺していて、言葉もない。
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