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その日からみんなが行く公立中に行くことが嫌になった。この状況が続くくらいなら私立中学受験をしようと今まで以上に勉強を頑張り、塾に通い始めふたりと遊ぶ事もなくなった。
見栄っ張りの母が乗り気だったし、その母が働いていたこともあり、お金の心配もない。
しかしそのせいか元々の性格か、母は他人……とくにすぐ近くに住むクラスメイトの成績と比べ梨香子に口を出してくることが増えて、家でもくつろぐ事ができなくなっていく。
「お母さん、今日のテスト98点だったよ。」
「ひとみちゃんは?」
「100点だった……」
「なんで間違えるの。あんたは本当にダメねぇ。」
別の日
「お母さん、今日は100点だったよ。」
「ひとみちゃんは?他の子は?」
「ひとみちゃんは違うけど、100点は5人いたよ。」
いつも基準のひとみより成績が良ければ褒められると期待した梨香子に母は優しくなかった。
「5人も100点がいるなら、取って当たり前よ。もっと頑張りなさい。」
褒めて欲しかった言葉は貰えず、梨香子は家でも笑えない子になった。
「せっかくなんだから、ワンランク上にしたらいいのに……」
母は、市内のトップ校の受験を勧めてきたが、梨香子は、母が比較する相手が多いだろうというプレッシャーに勝てないのとプライドの高そうなお嬢様学校だと余計に人間関係が難しそうだと敬遠した。
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