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一族の呪い
「そこのお前。クロエ様に感謝するんだな。」
「はぁ…はぁ……、呪いは?」
「消した。お前の一族にかけられていた呪術もな。」
「っ!?」
この男だけが呪われていただけなら、羽虫の妹をわざわざ捕まえつづける事はなかったはずだ。
「呪術師はヌメルの子孫の1人か?」
「…はい。」
あの男の血を引いてるなら、やりそうな事だ。俺を喚び出して使い魔か何かのように扱おうとする馬鹿だった。
王太子に取り入ってる女も、ヌメルの子孫ではあるが…。
「何なん?呪術師ってお前の知り合いなん?ヌメル?変な名前やな。」
「…羽虫、お前ではなくルードリッヒ様と呼べ。」
「自分も俺の事クロエラ様って呼ぶんやったらな。」
「…妹に呪詛を返してやろうか?」
「っな!?お前、それでも守護神かっ!!」
「悪魔だ。」
「ついに自白っ!?」
そんな2人を見てハイネは怒った。
「…っそんな事言ってる場合ちゃうやろ!!クロエ様をはよ連れて帰らな!!それからクロ、ルードリッヒ様の事を『お前』とか言うな!」
「……おぅ。」
ハイネが悪魔の味方になってもうた…。
「これが噂の兄ちゃん離れか…。」
「どんな噂だ。」
「うっさいな。」
ルイはクロエと双子の妖精と公爵を連れて喫茶店へ戻った。
・・・・
「ん……」
目を覚ますと薄暗かった。
「具合はいかがですか?」
「ルイ…ここは?ハイネは、公爵はどうなったの?」
「ここはクロエ様のお部屋です。羽虫の妹もあの男も無事ですよ。」
「よかった。…ねぇ、公爵と話がしたいわ。」
もし他にも妖精を捕まえているなら、それも全部解放したいしね。
「喫茶店に連れてきていますので、体力が回復しているようでしたら可能ですよ。」
「うん、もう大丈夫よ。ところで、クロエラとハイネは?もう帰ってしまったの?」
「……いえ、追い出したかったのですが、全く帰ろうとしません。」
「別に追い出さなくてもいいじゃない。でもまず、クロエラはドワーフの姫に謝罪しないとね。」
「…クロエ様、それはおすすめ出来ません。ドワーフは魔人に襲われたと思っています。そこに妖精が関与してると知れば、彼らの関係を崩す可能性がありますので。」
「そうね…。」
全ての妖精が悪いわけじゃないもの。下手に横から口出しするのはよくないわね。
「体力は回復したから、公爵に会いに行くわ。」
「では、案内致します。」
もうすぐ日が沈む。
夜は魔物の時間。
私の魔力を王太子が感知していたら、また私を殺しにくるよね。誰かが私のせいで襲われてたりしたらどうしよう。
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