あたたかな月

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あたたかな月

ぼんやりと本を読んでいたらすっかり日付が変わっていた。窓の外に浮かぶ濃い色の満月が、祖母の作るシロップ煮の金柑みたいに見えた。 風邪気味の時、琥珀色の瓶を抱えた祖母は、お湯を入れたマグにシロップとつやつやの実をひとつ入れくれた。こくりと口に含んだ優しい甘さは今も胸に刻まれていた。
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