別れの色

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別れの色

あの花は何色だったろう。君とふたりきりが気恥ずかしくて、ろくに見ないままはらってしまった、あの花。あれっきり会えなくなるなんて少しも思わなかったんだ。 赤だったか白だったか、今も思い出せない。ひとつだけ覚えているのは、大きな瞳からこぼれた涙が、遠い秋の空の色をしていたことだった。
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