かみさま、どうか

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かみさま、どうか

熱い息が鼻を抜けるから、拳を強く握った。手のひらには爪の深い痕ができる。ぼうっと眺めたら赤くなった。 できることは全てやった。力も発揮できた。なのに、どうして。 窓の外には欠けた月がぽっかりと浮かんでいた。淡い光が部屋に差し込む。いつの間にか僕は赤い爪痕を包むように手を組んでいた。
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