あの日の約束

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 クヒオ通りに面したホテルにスーツケースを預けて、アラモアナショッピングセンターへ向かった。  トロリーバスを使って、まずはコンベンションセンターへ行く。そこでマラソンのゼッケンを受け取り、ショッピングセンターへ歩いて向かう。  日影に入ると空気がひんやりとして涼しいが、日向に出ると容赦ない陽射しにさらされて途端に汗ばむ。  そうそう、これこれ。ひとつひとつの何気ない出来事が気付かなかった幸せを思い出させてくれる。  待ち合わせは午後二時だった。香織さんに会ってから食事をしようと思って食べるのを我慢していた。だけどまだ二時間以上もある。最後に食事をしたのは機内食で、七時間も前だったから、お腹がペコペコだった。  とても我慢できそうにないので、フードコートでお腹を満たす事にした。  アラモアナショッピングセンターのフードコートは様々な料理の匂いで満たされている。和食、イタリアン、チャイニーズ、ハワイアン、コリアン……  色んな国の料理が集結したここのフードコートは、ハワイ滞在中に必ず利用するスポットだった。  僕はコリアンバーベキューのプレートをオーダーして、共有スペースの空席を見つけて腰を下ろした。賑わう店内、肌の色や国籍の違う人達が混ざり合うその空間が懐かしさと、心地良さを同時にもたらす。  出来る事なら香織さんと一緒にここへ来たかった。  香織さんに会ってからの事を色々と妄想した。ふと頬が緩んでいる事に気付いた。そしてそれと同時に、果たして会えるのだろうか、と言う不安と緊張で胸の奥が締め付けられるように痛んだ。  香織さんとの出会いは、五年前だった。  僕達はガン患者の集いで出会ったのだ。
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