夢にいる君

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そして土方さんから逃げるように湯船に向かい、身体を沈める。 ((なにかあるなら言え…まぁお前のことだから素直に言わねぇだろうが)) 『なんでもないですよ』 ((そういえば…最近のお前、変なところで寝ていることが多いらしいな)) 土方さんは、僕に聞いても無駄だと思ったのか話題を変える。 『みたいですね。副長がこき使うから疲れてるんです』 僕は、副長という言葉を強調させて、嫌味ぽく言って頬を膨らませる。 ((へんっ!!よく言うぜ。稽古はサボるわ稽古に出てもボコボコにして動けなくさせるわ巡察の途中で勝手に甘味屋に寄るわ…やりたい放題のお前が疲れる訳がねぇだろうが!!)) 『僕だって、いろいろ大変なんです』 ぶうっと頬を膨らませる。 ((はぁ…そうかそうか)) 水の音が聞こえたと思ったら、土方さんが歩いてくるのが見える。 『副長はいいですね。命令だけすればいいんですから』 ((副長だってな、忙しいんだよ)) 『えー』 ((特にお前よりな)) 土方さんはふんっと笑う。 『だから僕も忙しいですってば』 僕はぶうっと頬を膨らませる。
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