【狂った歯車】

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その内……小夜子のお腹がポッコリと膨らんでいった。 比較的、戦争の被害を受けていなかった親戚の家で小夜子は身を寄せていた。 小夜子なの両親は敵国のミサイルに撃たれ戦士していた。 「なんだい?!小夜子!!その腹は?……この苦しい生活の中、誰とイチャついていたのさ?」 この時は、まだ配給がなければ生きていけない時代だった。 小夜子は、どれだけ叱咤されても一太郎との逢瀬のことは黙秘を貫いた。 「ふん!まぁいい……その代わり小夜子にも畑仕事を手伝ってもらうよ?」 「はい!!何でもします!!だから、どうか私を追い出さないで下さい!」 と小夜子は土下座をした。 それからは小夜子は畑仕事に精を出し、働いた。 身重の身体であるにも関わらさず……である。 小夜子が身重の身体になった、ある夏の夜。 一太郎は大量の食料を小夜子に与え優しく口付けをした。 「一太郎さま……きっと……きっと……一太郎さまに似た元気な子を産みます……一太郎さま……死んで欲しくなかった……小夜子は、それだけが無念です……」 そう言って涙を流す小夜子を一太郎はギュッと抱きしめ、一太郎もまた悔しそうに唇を噛みしめた。
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