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小さな鳥居
「ここの小さな村にはね。昔から言い伝えがあるんだよ~村にはいくつもの鳥居が建っているよね。
大きな鳥居と猫が潜れるくらいの小さな小さな鳥居……
でもね。その小さな鳥居に近づいてはいけないよ。絶対に近づいてはいけない……そして、その小さな鳥居を絶対に壊してはいけない……。
いいかい?美咲~婆ちゃんとお前の母さんと仲良くずっと暮らしていくにはね~この村の規則を守らなきゃあならねえ。いいかい?美咲~。
「お婆ちゃん。その小さな鳥居を壊すとどうなるの?」
「それは~恐ろしい事が起きるんだよ」
「どんな?」
「さあ~もう寝なさい田舎の朝は早いから、婆ちゃんは朝早くから畑に行かにゃあならんからな~」
「婆ちゃん離婚ってなあに?パパとママ離婚したから会えないんだって、パパはだからここに来ないんだって」
「美咲大人になれば離婚の意味がわかるよ。もう寝ようか~」
「そう寝る前に毎日お婆ちゃん話したんだよ~私に~寝る前に怖いよね~婆ちゃんが亡くなる時までずっとだよ。私が16歳までずっと~三歳からずっとだよ~」
「ねえ~まだあるの?美咲の村に小さな鳥居?」
「今度行ってみない?」
「どんな恐怖体験があるのかな?」
「そんな事よりせっかく草津温泉に来たんだからさ~温泉行こうよ」
「そうね温泉温泉」
山口美咲と小松美優と佐藤理彩は同じ会社の同僚で同じ年齢という事もあって仲がよかった。
そんな三人は今、お盆休みに草津温泉でのんびり休日を楽しんでいた。
二泊三日の旅行のまだ初日の夜だった。
これから温泉三昧食べ歩き気が合う同僚~三人はこの日の夜「ホテル境」の温泉を満喫するつもりだ った。
ところが三人がホテルの温泉に向かおうと着替えの準備をしている時から三人は恐怖の入口に立つことになろうとはまだ知らなかった……。
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