電話

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山口美咲は今、会社の同僚の小松美優と佐藤理彩と三人で一緒に草津温泉でお盆休みを満喫していた。 そして今三人は、草津温泉「ホテル境」の温泉の大浴場に向かおうとしていた。 「準備できた?美咲まだ~」 「もうすぐ~え~と化粧水と~くしを持って」 「美咲~ここのホテルって有名だしちょっと割高なホテルよね?くしとか化粧水って大浴場にあるんじゃない?」 「あるかも知れないけどさ~自分のがいいの~」 「本当に美咲は~で?準備はできた?」 「できた、できた」 三人はそんなお喋りをしながらホテルの大浴場に向かう為、ホテルの部屋を出ようとしていた。 三人がホテルの部屋のドアの前に立ったその時、 美咲の携帯電話が鳴った。 「あれ?お母さんからだ~何かあったのかな?」   美優と理彩は心配そうに美咲を見ていた。 美咲が急いで携帯に出た。すると、母親の美保は美咲に言った。「ミミが~」 美咲は「えっ?ミミが?そんな~いなくなったって~」美咲の母親の美保にそう言った。 美優と理彩は「ミミって~美咲のペットだよね~ いつも可愛がってるって美咲が話してた」 美咲は「なんか、いなくなったって」そう美優と理彩に美咲の母親からの電話の話を話した。 美咲は母親に「あの子がいないと私困るわ~」 携帯電話の向こうから美咲の母親美保が美咲に話した。 「私も困るのよ~」美咲の母親も美咲にそう言った。 そして、美咲は母に言った。 「あっ、お母さんちょっとそのままで待ってて」 美優と理彩は「大丈夫?美咲ミミちゃんの事いつもかわいいって話してたよね?」 「大丈夫だよすぐ見つかるよ」 美優と理彩は美咲にそう言って美咲を励ました。 美咲は「悪いけど先に大浴場に行ってて~わたし、お母さんに何時ごろいなくなったのか?とか詳しく聞くからさ~詳しい話は温泉で話すね」そう友人二人に話した。 美優と理彩は「そう?大丈夫?」美咲の顔を覗き込みながら心配していた。 美咲は「大丈夫、大丈夫あの子は一人じゃ生きていけないから、私がご飯あげないとね」 理彩と美優は「いつも美咲ってミミちゃんの事をあの子って言うよね?餌とも言わないしご飯って言うよね?それほどミミちゃんの事、家族だと思って可愛がっているんだね」 「早く見つかるといいね」 美優と理彩は美咲の事を心配してホテルの部屋の ドアの前で美咲に声を掛けた。 美咲も二人に「心配してくれてありがとうね」 そう言った。 美優と理彩は心配しながらも美咲に言った。 「じゃあ私達、温泉に行ってるね。話は後で、温泉でね」そう言って二人はホテルの部屋から出て行った。 美咲も二人にもう一度御礼を言ってから二人が完全に部屋の外に行った事を確認して自分の母親からの電話に再び出た。 そして、山口美咲は母親に言った。 「私、困るよミミがいないと~本当に困る~」 美咲の母親も言った「お母さんも困るわ。あの子がいないと」 その後、美咲は母親に言った「だって、あの子がいないとストレス解消の為に殴る相手がいなくなるじゃない。会社の忙しさ半端じゃないんだから」 美咲の母も美咲に言った。 「お母さんだってそうよ~ストレス解消の為にあの子を拾って育ててるんだから~」 美咲は「お母さん虐めすぎたんじゃないの?この前あの子怪我してたし~」 「手加減したんだけどな~壁にぶつける力を」 美咲と美咲の母は電話口でそう言いながら笑っていた。 そう、美咲も美咲の母親も動物が好きなわけではなかった。ミミを一度も可愛いと思ったこともなかった。 二人ともペットはストレス解消の道具としか思っていなかったのだ。 そんな事を美咲と美咲の母親が電話で話している なんて事は美優と理彩は何も知らずに温泉を楽しんでいた。 「やっぱり草津温泉はいいわね~」 「本当ね~まだ来ないね美咲~大丈夫かな?」 「大丈夫だってそのうちミミちゃん戻って来るよ」 二人は大浴場の温泉を楽しみながらそう言って笑っていた。 この草津温泉の「ホテル境」に泊まった初日に美咲に掛かってきた電話から恐怖は足音をたてて三人に忍び寄っていた。 そう……美咲のベットミミの失踪~恐怖の始まりはそこから始まっていた。 そして、美優と理彩も美咲には話せない秘密が あった……。
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