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暗闇のビルの路地裏。
猛烈な雨に打たれながら、女は逃げていた。後ろから数人の雨水を弾く足音が、迫って来る。
女は息を切らしながら、必死に足を前に運んだ。
身なりは派手な格好で、ガールズバーを経営していた。
男達3人は怒りの表情で怒鳴り声を上げながら、女を追い詰めていた。
「きゃあっ!」
女は足を引っ掛けると、水しぶきを上げ勢いよく地面に倒れ込んだ。
「金出せや!しょば代、いつになったら払うんや!!」
男達3人は身なりからして、ヤクザに見えた。
「金なんてない!ウチは言ったはずや!あんたらの親分さんに待ってくれと」
「何を寝ぼけた事を言っとるんじゃ!ワシ達はその親分から命令されて取り立てに来てるんじゃ!」
女はずぶ濡れになりながら、身体を震わせていた。もはや寒さなのか、恐怖でなのか分からない。
「払えんのなら、身体で払ってもらうさけぇの!」
サングラスをかけたボウズ頭の男が、どすのきいた声で女を脅した。
女が絶望で表情を歪めた視線の先に、レインコートを身にまとった者がこちらに向かって歩いて来た。
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