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病院
「おはようございます」
僕が彼女の病室で挨拶をすると
彼女は少し戸惑いの表情を見せたが、
にっこりと笑って挨拶を返してくれた。
『貴方…昨日の…?』
「そうだよ。」
『昨日は御免なさい』
「大丈夫、だって記憶がないんだろ?」
「無理に思い出そうとしなくても、無理に笑顔を作らなくても、僕は君が生きてここにいるだけで嬉しいよ。」
『…』
「あっ、!あああっ、ごめんなさいっ!君からしたら僕は知らない人だもんね!!」
『っ…グスッ…ヒッ…』
「…!」
『こちらこそ御免なさい。貴方は私にとってとても大切な存在な気がするの…』
『でも記憶がなくて…』
『本当に御免なさい…』
涙を流しながら謝る君。
それを見て僕も涙が溢れて来る。
「じゃあ…また明日。」
「記憶を取り戻せるように僕、頑張るから!」
「君も頑張って!」
『…はいっ…!!』
その日、僕は少し遅く帰った
君との思い出を振り返りながら。
「神頼みなんてしない。
僕が必ず君の記憶を取り戻してみせる。」
と胸に誓った。
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