みらいのおいしゃ

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「うわぁあああああ!誰か!誰か来てくれ!」 病院のパステルカラーの壁に患者の声が響いた。 「オチツイテ」 抑揚のない電子音で話しかけたのは下半身が車椅子の様な機械で上が人間の姿を模したロボットの医者だ。 この最先端の医療機関にしかいないAIドクターなのだ。 現代医学のあらゆる知識を詰め込んだAIドクターは右手に注射器を握りしめて左手で患者の頭を押さえつけている。 「ま、まて!貴様狂ったか!」 「イエマッタク」 「それが何かわかってるのか?」 「ハイ、ビタミンデス」 「そんなものをどこに打つ気だ!」 「アナタノミケン」 「ば、ばかな!そんな治療法聞いたことがない!」 「ハイ、ハジメテデス」 男は患者になる前はここの病院の優秀な医者であった。 それだけに、このAIドクター、いや彼に取ってはただのガラクタにされることに気が気ではなかった。 「やめろ!殺す気か!」 「イエ、コレハ、タダノイリョウコウイデス」 「う、嘘だ!まさか!お前の生みの親である片桐博士を死なせてしまった俺を恨んでいるのか?」 「イエイエ、マサカ、アナタノシタコト、イリョウコウイ」 「そ、そうだ!医療行為だ!恨まれる筋合いはない!」 「ソウデス、ソシテワタシノヤルコトモイリョウコウイデス」 「ど、どこが医療行為なんだ!ふざけるな!誰か!誰か来てくれ!うわぁああ!」 バタバタと駆け寄るナースが絶句した。 「な、なにをしてるんですか!」 既に患者は眉間に注射器を打たれて意識を失っているようだ。 「ダイジョウブ、モンダイナイ、コレハ……」 「きゃあああ!眉間に注射器が!!!」 「イリョウコウイ」 その後、警察が来てAIドクターは破壊されてしまった。
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