8人が本棚に入れています
本棚に追加
患者は目を覚した。
「大丈夫ですか?」
「…う……うぅ…」
「山崎先生?わかりますか?」
「あ、あぁ……あれ?俺は…」
「三日ほど寝てました」
「そ、そうか……あ、あいつは!」
「あいつ?」
「俺を殺そうとした奴だ!」
「あぁ、破壊されました」
「……そうか」
「安心しましたか?」
「あぁ、やっぱりAIなんかに医者の真似事をさせたのが間違いだったんだ」
「はい……それはそうとして良い報告があるんです」
「ん?なんだ?」
「完治してるんです」
「は?…なにが?」
「あの……先生の原因不明の病が」
「は?……本当に?」
「はい、データを取ってあるので見ますか?」
「あ……あぁ」
看護師はベッドの横のモニターに手を翳して、何度か不思議な指の動きをした。
モニターに映し出されたデータを見て山崎と呼ばれた患者は目を丸くした。
「な、なんてことだ、こんな……」
「はい、驚きですよね?」
「何をした?」
「はい?」
「治療だよ、何かしたんだろ?」
「え?いえ、何も」
「……本当に?」
「えぇ、嘘をつく意味がありませんから」
「……まぁ、そうだな」
山崎は暫く考えこんだ。
「いや、まさか……まさかな」
「どうしたんです?」
「あ、いや、なんでもない」
そう言ったきり山崎は沈黙した。
最初のコメントを投稿しよう!