第二章 調査開始

4/7
前へ
/95ページ
次へ
「本日のパスタはペスカトーレでございます」  トマトとニンニクの香りが虎之助の鼻腔にパンチをくらわす。なんておいしそうな匂い。さっそくフォークに巻き付け一気に口に入れると、見た目通りの熱々で口をハフハフさせながら本格的なイタリアの味を堪能した。といっても、イタリアに行った事はないのだが。  一人黙々と箸を、いやフォークを動かしているおかげで、尾行の相手が食事を始める頃には自分の食事は終えていた。アイスコーヒーはゆっくりと、ちびちびとすすり、席を立たずにいられるようペース配分はバッチリだ。  ゴンスケこと海斗が店に入ってから40分近く。もうそろそろ昼休みが終わり会社へ戻らなければならない時間だろうと、さりげなく様子を窺うと、すでに皿の上はカラになっていた。料理が運ばれてからまだ10分くらいのはずだが、そこは彼の方もペース配分をしっかりしているらしく、たぶんすごい勢いで腹の中に収めたのだろう。飲み物も、一気にストローで吸い上げてコップをテーブルに戻したところだった。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加