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とにかく、彼女が動かない事にはなにも調べられないしわからない。
根気よく待つしかない。幸い、ほとんどの会社の昼休み時間帯を過ぎたことで店の中は空席が増えたので、多少の長居もできそうだ。
手にしたスマホをいじるふりをして、ひたすら女が席を立つのを待つ。
ケーキが運ばれて行ってから10分くらいか、音楽も流れない店内にスマホの着信音が鳴り響いてすぐ、女が応える声がした。
「今?保険屋さんに行って契約書おいてきてから一人でランチしてたとこ。
これからデパ地下行って買い物して帰るわ。今夜はノブくんの好きな鰻にするから、早く帰って来てね、じゃあね」
・・まさか、保険の客かよ!・・
ゴンスケこと谷村海斗の相手は、なんと生命保険の客だった。
一番欲しかった情報を思いがけない形で得られて万歳三唱したいくらいの
虎之助であったが、落ち着きを取り戻すと同時に、あまりに浅はかな男と女の情事にあきれてものが言えない気分になった。
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