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淹れたてのお茶を虎之助の前に置きながら弥生は、やけに上機嫌の虎之助の様子に首を傾げた。
「それはよかった。だけど、そんなに浮かれるほど相手の素性が面白かったの?」
「素性がおもしろいなんて発想、なかなかしないですよ。さすが弥生さんですね」
「ん・・なんか、いつもと違って疲れを全く感じさせないわね。なにかあったの?」
たいてい、帰ってくるなり疲れた顔を見せつける虎之助なのに、終始上機嫌でおまけに土産付き。弥生が不思議がるのも無理はない。
「ぜったいなにかあったわね?なんなのよ、早く教えなさいよ」
その前にまずは一つと取り皿に取ったほぼ冷めているたこ焼きを、余裕の面持ちで口に入れる。冷めてもおいしいです、と数回咀嚼してゴクリと飲み込んでから虎之助は答えた。
「じつは、もう一人調査員がいたんです」
「えっ?もう一人?」
「そうなんです、ゴンスケの浮気相手のほうも調査されているみたいなんです」
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