第一章 石の上にも三年経った

6/6
前へ
/95ページ
次へ
「奥さんからの依頼ですか、旦那さんの浮気疑惑ですね・・結婚して二年半で浮気ですか、へぇ・・じゃあなんのために結婚したんですかね」  おっしゃる通り、と弥生が大きく肯く。 「結婚する時にはきっと盛大な式とかパーティーとかやったんでしょ?僕たち幸せになるために出会ったんですってなクサイ台詞を涙目でスピーチして。で、3年も経たないうちに女房に飽きる。まあ、こういう奴はこれでお目玉くらっても一生治らないだろうけどね」  がっはっは!と豪快に笑う江戸川乱子こと田所弥生だが、その目は笑っていなかった。 「まあ、複雑怪奇な匂いは感じないからわりと早くに片が付くんじゃない?ってことで、よろしくね、明智くん」  了解しました、と所長・江戸川乱子から依頼表を受け取る明智五郎こと虎之助。対象者・ゴンスケの顔写真を見てフンと鼻を鳴らす。ちょっとばかし見てくれがいいからって調子に乗るなよ、と写真ではなく面と向かって言えるもんなら言ってみたい、と虎之助は写真を指ではじいた。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加