最終章 人って解らないものなのだ

2/4
前へ
/95ページ
次へ
 コノミ探偵事務所の仕事もひと段落。のんびりとした本屋の店番に戻った虎之助だが、店の前を猫のぽん太が通るたびに、ネコ男こと麦島の事を思い出した。  蓬田ちゃんから警察へのストーカー被害も出されず、コノミ探偵事務所も通報などしなかったので、咎めらえることなく、あえて言えば有耶無耶に終わられてホッとしているはずだ。  いったい麦島はなんのために、いや、麦島にとってなにかメリットになることがあったのだろうか。 報酬を約束されていたわけでもなさそうだし、ありがちな理由の、女を自分の思い通りにするというのでもなさそうだし。  ただ単に、猫カフェのスタッフの苦労や世話をされる猫たちの事を思っての事だったとしたら、その純粋な気持ちをもてあそんだ蓬田氏は見かけによらず意地の悪い人間なんだなと、虎之助は肩をすくめる。 「人って解んないもんだなあ」  思わず声に出して呟く。それを聞いた弥生がほんとだねと相槌を打った。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加