夏の夜の不思議な出会い

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 真夏になると手の甲が熱を帯びる。10年ぶりに祖母の家に行き思い出話を語り合う。小学生時代に起きた出来事は、今でも鮮明に思い出される。お狐様だったのだろうか?それとも・・・・ 「なつちゃん聞いてる?」 「う、うん」  2つ年上だって威張ってる大志がいる。教論になるために、スタンプを集めてるって狐のスタンプを見せてくる。私は食い入るようにスタンプを見る。すぐに消えない。狐の背後に葉っぱがない。 「大志にいお面買った?」 「9歳で面なんて買うかよ」  じゃああれは----- ※※※※※  エアコンが効いてるのに寝られない。換気のために開けてた窓から風が入る。温かさを帯びた獣の風が。 「あの時はありがとう」  何も言わなくてもわかった。紺色の浴衣は大きく、背も伸びた少年はお面を少し上げて微笑むの。ポロポロと涙が流れたのは、きみに会いたかったから。 「私の初恋でした」  叶わないって知っている。叶えられないことも・・・  きみは私の手の甲に口づけをし、あの時のように手を振るの。 ※※※※  翌朝、目覚めた私は手の甲を見ながら泣いていた。何が悲しいのか思い出せずに・・・・
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