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 もともとかやは親友だった。一緒に遊んだり、出かけたりして互いの趣味趣向だけではなく、悩みやコンプレックスについても共有していた。仲良くなったきっかけを思い出せないほど思い出は濃く、心地良い関係だった。  しかし、わたしの中でその気持ちに変化があったのは昨年のことだった。 「あおい(、、、)も、もっと可愛い恰好したら? 男にモテないよ」  サークルでの飲み会で、同期の子に不意にこんなことを言われたのだ。わたしはそのときからパーカーやTシャツなどラフでボーイッシュな恰好が好きで、周りの女の子たちが着ているようなひらひらしたブラウスやスカートはあまり着なかったのだ。  その場はそうかなあと流したものの、飲み会が終わったあとも心の中では魚の小骨みたいに引っかかっていた。  別に何でもかんでも周りに合わせたいわけではない。でも、やっぱり他の人と違うことで省かれてしまうことは怖くて、なかなか胸を張って自分を通し切れなかった。  そのあと、かやと遊びに出かけたときになんとなくそのことを言った。てっきり、大学の友達に肯定的なことを言うかと思ったが、そうではなかった。 「わたしはそのままのあおいが好きだけどなあ」  そのとき、わたしの中でパンと何かが弾ける音がした。 嬉しかったのだ。誰かに認めてもらったのが。受け入れてくれたのが。真っ暗な場所に一筋の光が差したみたいだった。 そこから彼女を好きになるのに時間はかからなかった。小さく整った顔、すらりとした姿勢、控えめだけど華やかなファッション、真面目だけどちょっと抜けているところもある性格。これまで何とも思わなかった彼女の細部が、会うたびに輝いて見えた。 これが、恋というやつ。わたしの胸はときめきを覚えたのだった。
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