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手に汗が滲むのを感じて、慌てて深呼吸をする。
落ち着け。落ち着くんだ。何も冷蔵庫には、上の段しかないわけじゃない。冷蔵庫は広い。関係ないが、世界も広いんだ!
冷静さを保ちながら、出していった食品を元に戻す。戻したところで再び警告音が鳴り響くので、扉を閉める。
大丈夫、ちゃんとあるさ。あれだけ家族全員に忠告したんだ。まさか、忘れたなんてことはないはず。というか、言わせない。
前をまっすぐ見る。そこには、白い何の変哲もない冷蔵庫の扉がある。だがこの先には、私の癒しが待っている。探す。癒しのためなら、私はいくらだって貪欲になれる。
運命の扉を開ける。次なるターゲットは、二段目だ。ここには、残り物やタッパー類が置いてある。だが当たり前のようにぱっと見ではないので、やはりあさるしかなかった。
食器類が多めなので割らないよう丁寧に出すのと同時に、観察も欠かさない。しかし、いくら掘っても、ない。ついに二段目の、暗がりの中の白い壁が見えてしまった。
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