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rose pink day
フラッシュが眩しい。連続するカメラ音。
白いレフ板の前に私は立っている。
眼鏡を外してコンタクトを装着し、プロのメイクアップアーティストに、周りから整形したかと思われかねないくらいのメイクを施されていた。
「蓮見社長の秘書さんなだけあって美人ですねー」
メイク後にスタッフさんに声をかけられたけれど、お世辞もいいところだ。プロに変身メイクをされただけ。
「次は蓮見社長と二人で撮影しましょう」
カメラマンの呼び声に、社長が私の隣に立った。
ポーズを指定され、背中を合わせながらカメラを向いたり、赤いソファに二人並んで座ったりした。
何故私なんかが、写真撮影をしているのかというと。アラサー向けファッション誌から社長にオファーがあった。
《イケメン社長特集》
という記事で、写真と共に何ページかに渡って、社長のインタビューが掲載されるらしい。
そこまでは良かった、というより、似たようなオファーがこれまでもあったから、珍しい話じゃなかった。
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