最後の難関

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最後の難関

箕輪くんのデバイスからチャット機能にバグを起こすプログラムが組まれていたことは、まだ上役たちだけの秘密だった。 箕輪くんはそんな人じゃないと私は思っている。 箕輪くんに向けられている疑いを晴らしたくて私は今日、活気のなくなった社員食堂に出向いていた。 社長とのランチを断り、愛澤さんと食事をする約束をする。 その時箕輪くんに会えればいいなと思っていたら、愛澤さんと待ち合わせする前に運良く、箕輪くんが一人で食堂に入ってきた。 「箕輪くん、久しぶり」 箕輪くんの方へ駆け寄る。話すことくらいしか私にできることはないと分かっていたけれど、箕輪くんが“シロ”だという言動を引き出せればと思っていた。 「宮内さん、久しぶりですね」 はにかむように笑いかけてくれる箕輪くん。 「今日愛澤さんとここでランチするんだけれど、箕輪くんもどう?」 「はは。宮内さんがこうやって誘ってくれる日がくるなんて・・・嬉しいです。ご一緒させてください」 NEサーチが只事ではない状況なのがあったからか、以前の気まずさが無くなっているように感じる。私たちの以前の関係を深く見つめ直す余裕もないくらい、社内が重くて暗いから。 「宮内さーん」
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